不思議なヴィトーリア

ベンフィカの監督として4シーズン目のルイ・ヴィトーリアの継続・解任がかかったアヤックス戦は1-1の引き分けに終わり、とりあえず判断は保留され、今夜のリーグ戦のトンデラ戦が次の試練になっています。

個人的は継続を支持しています。そもそも後任として連れて来られるのがジェズスなら、戦術的なプラスはあるものの、クラブのFormar a ganhar「育てて勝つ」という数年来うまくいっているクラブの方針を捨てることになります。エデルソン、ネルソン・セメード、ゴンサロ・グエデスなどの下部組織出身者を抜擢する勇気を持ち、辛抱強く、時に大胆に起用し、数シーズンのうちに売却し、高額な移籍金を出す。この健全なサイクルを捨て、目先の勝利のために、外国人を買い集め、有望な自国の若手を出す真逆の監督を連れてくるのは、正気だとは思えません。例えば、今季のカップ戦では6人の下部組織出身者が同時にピッチにいるという、ジェズス時代には考えられないような革命的な出来事がありました。

4連覇をしてファンの忍耐力が低下しているのは否定出来ませんが、それは私にも言えると思います。では今一度、ルイ・ヴィトーリアを再評価してみましょう。基本的にはあまのじゃくな筆者は解任論が強くなると、逆に残留を望んでしまいます。

「不思議なヴィトーリア」これが私の初期のころから変わらない印象です。

システムは4-3-3、4-4-2の2パターン(それの変形の4-5-1)しか用いず、戦術的な深さ、柔軟性は言ってしまえば皆無です。しかし、戦術面だけで語れば凡庸な監督が、キャリア初のビッグクラブにとなるベンフィカで2連覇を果たし、CLで強豪のバイエルンを焦らせるような試合が出来るでしょうか?私にはそうは思えません。

ヴィトーリアを語る上で決して軽視してはならない要素がソフト面、つまりマン・マネージメントでと私は推察しています。 現監督が就任してから、確実にクラブの風通しは良くなり、選手にかかるプレッシャー、チーム内でのストレスは減っているように思います。印象論であるとの意見には同意しますが、監督と選手のいざこざや、出場機会を得られず、クラブを去った選手達が痛烈に監督を批判するような声はジェズス時代に比べて格段に減っています。気難しく、頑固な前任者の時代にはエンソ・ペレス、ルーベン・アモリン、カルロス・マルティンス、オスカル・カルドソ等が戦術的な理由、起用法などで監督とぶつかったことが強く印象に残っており、そうして例は他にもまだまだ挙げられます。

むしろ、若手の選手達が、ビッグクラブに移籍してもことあるごとにベンフィカに戻りたい、ベンフィカで引退したいといってもらえるのはクラブにとって非常に価値のあることです。この裏には確実にルイ・ヴィトーリアの功績がありといった所ですね。若手選手に過度に戦術的な要求を求めず、ある程度自由にのびのびとプレーさせられることも現監督の長所。

キックオフ時に送り出した11人を信じ、相手によって戦い方を変えない所は賛否が分かれますが、バイエルンにも、モレイレンセにも同じようなメンバーで、同じ戦い方で挑む姿勢、個人的には嫌いではありません。簡単に言えば、相手に合わせて微調整や相手がビックリするようなサプライズ起用はありません。選手の起用、交代・投入が当たれば勝つ、外れれば結果はでない。それだけかも知れません。

ここまで褒めているのか、けなしているのか分からなくなっていますが、リーグ戦ではホームではなく、アウェイに強いのはもう一つの長所で、これが2連覇を達成できた大きな要因と私は考察してます。ブラガや、マデイラ遠征への苦手意識は払拭されました、むしろ、ホームでポロポロ負けてしまうことが、監督への風当たりが強くなる原因でしょう。ボールを持たされ、しっかりと引いて守り、カウンターを仕掛けてくるチームへの対策がしっかり取れるか。それを早くに克服できるかどうかに注目して今後のベンフィカを見ていこうと思います。

選手起用に関しては、ローテーションはリーグカップを除けば、ほぼ不動。人材の豊富な両サイドアタッカー、これといった決定的な存在のいないCF、退場を喰らうことの多いCB以外は不動のメンバーが並ぶます。スタメン予想する方は楽ですが笑。勝てば長所、負ければ短所になるので、これについて価値判断を下すのは、無意味なので、しません。

他のチームと比べて消化した試合数も多く、選手の疲労も溜まってきて、今が一番苦しい所だと思います。ピッツィ、ジェドソン、ルーベン・ディアス、サルヴィオ、セルヴィなどは代表での活動もあり、どこかで休ませる必要もあるでしょう。ローテーションをする、システムを変える、これまでの戦い方を貫く、やり方はなんでも構いません、トンデラ戦では大量得点で勝利し、優勝戦線に戻り、5月には優勝パレードに参加出来ると信じています、その時の監督は白髪のお爺さんではなく、不思議なヴィトーリアさんであれば最高ですね。

ピッツィを、ジョナスを起用すると攻撃面に厚みが出るが、守備のインテンシティが下がる、セフェロヴィッチはプレスの起点にはなるが、局面を打開する力は皆無。クロヴィノヴィッチを起用するとピッツィ、ジェドソンがベンチ行き。この辺りのバランスを調整出来ルカにに監督の手腕が問われています。

これからのキーマンは、ラッキーボーイ的な雰囲気を持つ神童ジョアン・ フェリックス、怪我から復帰し、アヤックス戦でゴールを決めたジョナス、ピッツィとジェドソンの役割を両方担えるクロヴィノヴィッチ、そして監督の信頼の厚い司令塔兼シャドーストライカーのピッツィだと予想します。

いずれにしてもここでジェズスを監督に据えれば百害あって一利なしでしょう。ポルトガル人若手選手の未来の為にもヴィトーリアにはここで結果を出して、周囲を黙らせて欲しく思います。

Jumpei Fujita

E PLURIBUS UNUM!!!
Benfica Sempre!!!
Rui Vitória Sempre!!!


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